ホップ
ホップはアサ科の宿根多年生の蔓性植物。冷涼で寒暖差があり、日照時間が長い地域を好む。
ビールに重要な働きをするのは雌株に形成される「毬花」と呼ばれる松かさのような部分。毬花は苞と呼ばれる部分が重なっており、この苞の付け根部分の「ルプリン」と呼ばれる器官に含まれる樹脂及び精油がビール特有の苦味と独特の芳香をもたらす。
主な栽培国はアメリカ、ドイツ、中国、チェコ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどで国内で使用されているホップの大部分は輸入品が占めているが、国産ホップにこだわり地元農家と連携してホップの栽培から収穫まで行いビールに使用している醸造所も存在している。 また、ホップに含まれる苦味の元となるアルファ酸の量は収穫年により異なる。
■ホップの役割
・ビールに苦味をつける
・ビールに芳香(アロマ)をもたらす
・防腐作用により雑菌繁殖を抑制する
・ビール特有の泡の形成や泡持ちを良くする
・ビールを清澄化する
代表的なホップ
【アメリカ産ホップ】
Amarillo(アマリロ)
爽やかな柑橘系、特にオレンジの様なアロマが特徴
Cascade(カスケード)
クラフトビールに欠かすことのできないポピュラーなアメリカンホップ。爽やかな柑橘系のアロマが特徴
Centennial(センテニアル)
スーパーカスケードという異名も持ちきらびやかでスパイシーな柑橘系のアロマが特徴
Citra(シトラ)
他を凌駕する精油含有量に由来する強烈で華やかな柑橘系アロマと良質な苦味が特徴
Chinook(チヌック)
グレープフルーツのような柑橘系やスパイシーなアロマが特徴
El dorado(エルドラド)
アプリコットや梨・桃を思わせる香りと心地よい苦味が特徴
Mosaic(モザイク)
柑橘系やトロピカルフルーツのような複雑に絡み合ったアロマが特徴
Simcoe(シムコ)
パッションフルーツを思わせる柑橘系や土っぽいアロマが特徴。アルファ酸も高く苦味付けとしても用いられる。
【ドイツ産ホップ】
Hallertau Mittlefruh(ハラタウ・ミッテルフリュー)
ドイツ・ハラタウ地方の伝統的なホップ。アルファ酸が低く心地良い苦味とスパイシーな香りが特徴
Huell Melon(ヒュールメロン)
2012年頃に流通が始まった比較的新しいホップ。メロンやいちごのアロマが特徴
Magnum(マグナム)
高いアルファ酸を有しビタリングホップとして主に使用される。
Tettnang(テトナング)
花、スパイス、紅茶の上品な香りとマイルドな苦味が特徴
【イギリス産ホップ】
Challenger(チャレンジャー)
杉・緑茶・花・柑橘系などの程好い香りと適度な苦味が特徴
Fuggle(ファッグル)
伝統的な英国産ホップの一つ。ミントや草などのアロマを持ち伝統的なビールに使用される。
Golding(ゴールディング)
英国の伝統的ホップの一つ。花やレモンなどの柑橘系の香りが特徴
Target(ターゲット)
セージ、ペッパーなどのスパイシーな香りが特徴
【チェコ産ホップ】
Saaz(ザーツ)
数百年も前からピルスナーなどに用いられているホップ。花や草原を感じさせる爽やかな香りが特徴
【オーストラリア産ホップ】
Galaxy(ギャラクシー)
パッションフルーツや柑橘系の香りが特徴。比較的新しいホップ。
Ella(エラ)
グレープフルーツ、トロピカルフルーツの果実系の香りと八角の香りが特徴
【ニュージランド産ホップ】
Nelson Sauvin(ネルソン・ソーヴィン)
ニュージランドを代表する人気ホップ。白ワインやライチを感じさせる香りが特徴
Motueka(モトゥエカ)
レモン、ライム、トロピカルフルーツなどの強い香りが特徴
【日本産ホップ】
Kaikogane(甲斐黄金)
山梨県北杜市で栽培されていたホップ。現在も一部醸造所で限定品などに使用されている。
Shinshuwase(信州早稲)
日本の伝統的なホップ。穏やかな苦味と澄んだ味わいが特徴
Sorachi Ace(ソラチエース)
レモン、ライムなどの柑橘系の香りが特徴。サッポロビールの品種改良により産まれたホップ